みなさんは代理店営業という仕事をご存知でしょうか?
代理店営業とは営業手法の一つであり、販売代理店の営業担当者とコンタクトを取る役目を担います。
自社の売上アップには欠かせない職務なので、代理店営業について深く理解しておくことが大切です。
この記事では、代理店営業の仕事内容や営業の進め方、必須のスキルについて解説します。
営業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
代理店営業の仕事内容
代理店営業とは具体的にどのような仕事なのでしょうか?
ここでは、代理店営業の仕事内容について紹介します。
新規開拓
代理店営業の代表的な仕事として、新規開拓があります。
自社の商品やサービスを販売してくれる販売代理店を増やすことが目的です。
代理店へのテレアポや訪問、セミナーの実施など、代理店契約を結べるようにアプローチしていきます。
商品説明
代理店営業は販売代理店に対して、商品説明も実施します。
具体的には、自社商品の情報や特徴、メリット、ノウハウなどをレクチャーすることになるでしょう。
販売代理店は自社と類似した商品を取り扱っていることが多いので、どれだけ自社の魅力をアピールできるかがポイントになってきます。
顧客対応
顧客対応も代理店営業の大切な仕事内容の一つです。
代理店には顧客からのクレームや要望、相談などが多く寄せられてきます。
その中で代理店が対処できなかった内容について、即時に対処する必要があるでしょう。
コンサルティング
代理店営業は販売代理店へ向けて、コンサルティングも行います。
具体的には売上をアップさせるためのノウハウを教えたり、代理店経営のアドバイスをしたりします。
コンサルティングの仕事を遂行するには、幅広い知識や経験、論理的な思考力が求められるため苦労することも多いでしょう。
営業同行
代理店営業は営業同行をすることもあります。
自社商品・サービスの専門性が高い場合、営業同行を実施し営業活動のフォローをしたり代わりに説明しなければなりません。
販売代理店のモチベーションを維持するには欠かせない仕事といえます。
代理店営業に取り組むメリット
代理店営業にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは、代理店営業に取り組むメリット4選を紹介します。
販路を拡大し大きな数字を動かせる
代理店営業の最大のメリットは、大きな数字を動かせることでしょう。
多数の販売代理店と契約していれば、それだけ自社の商品やサービスを販売する人員が増えます。
そのため、自分一人では到底達成できないような売上を上げることも可能でしょう。
ただし、売上アップは販売代理店の手腕にかかっているので、最適な代理店と契約を結ぶことが必須になります。
商品理解が深まる
代理店営業は商品理解が深まるというメリットもあるでしょう。
代理店営業は販売代理店へ向けて、自社の商品やサービスの特徴、魅力を最大限に伝える必要があります。
そのため、必然的に自社の商品理解が深まるのです。
代理店営業における成果を上げるためには、顧客満足度に直結するような理解も深めておく必要があるでしょう。
他の企業で活かしやすい
代理店営業の経験は他の企業でも活かしやすいです。
前述したとおり、代理店営業は自社製品の理解が深まるのですが、それだけでなくコミュニケーションスキルやプレゼンスキルも向上します。
これらのスキルはどの業界においても必須なスキルなので、身に付けておいて損はありません。
転職活動をするときに役立つスキルを得られるのも、代理店営業のメリットといえるでしょう。
営業マンを育成する手間を削減できる
代理店営業は営業マンを育成する手間を削減できます。
通常、一人前の営業マンを育てるためにはかなりのコストや時間を要します。
しかし、販売代理店ならばすでにスキルの高い営業担当者を取り揃えているので、わざわざ自社で営業マンを育成しなくて済むのです。
迅速に売上をあげたい場合は、販売代理店と契約することをおすすめします。
代理店営業に取り組むデメリット
代理店営業にはメリットだけでなく、当然デメリットも存在します。
ここでは、代理店営業に取り組むデメリットについて見ていきましょう。
自分で直接営業するスキルが身につきづらい
代理店営業は直接営業するスキルが身につきづらいというデメリットがあります。
代理店販売は、通常の新規顧客開拓よりも契約後のサポート業務を任されることが多いです。
そのため、どうしても直接エンドユーザーに営業をするノウハウが蓄積しません。
ただし、契約後のサポート業務で学んだコミュニケーションスキルなどは、直接営業するときにも活かせるはずです。
営業先が限られている
代理店営業は営業先が限られているというデメリットもあります。
前述したとおり、代理店営業は契約後のサポート業務が中心になるため、新規の営業先と関係を構築しづらいのです。
同じ営業先を周ることも多いので、張り合いがなく、次第にやりがいを失う可能性もあります。
このようにして、代理店営業は既存顧客との関係を深めるスキルが求められるのです。
代理店次第で結果が左右される
代理店営業のデメリットとして、代理店次第で結果が左右されることがあげられます。
代理店に営業を任せるので、営業結果が代理店次第なのは当然といえるでしょう。
ただし、自社との関係性が悪かったり商品自体に魅力を感じていない場合は、他社商品の販売に注力してしまい思ったように結果が出ないこともあります。
代理店と契約する場合は、代理店と良好な関係を構築できるようにしましょう。
代理店営業の種類
代理店営業は主に3パターンに分けられることが多いです。
ここでは、代理店営業の種類について紹介します。
①取次代理店
代理店営業の種類の一つ目は取次代理店です。
取次代理店は商品やサービスの紹介をするだけであり、契約フェーズはサービス取扱店と顧客との間で実施されます。
そして、販売価格の一部を手数料として受け取ります。
②再販代理店
代理店営業の種類の二つ目は再販代理店です。
再販代理店の場合は、商品の紹介から販売締結までのすべてのフェーズを販売代理店が請け負います。
そして、メーカーからの卸価格と販売価格の差額を利益として受け取ります。
③OEM
代理店営業の種類の三つ目はOEMです。
OEMはメーカーの商品を自社製品として取り扱って販売まで行います。
具体的には、メーカーが商品を製造した段階で、OEM契約した販売店のブランドとしてパッケージ化する仕組みです。
代理店営業の業界
代理店営業は各業界によって違いがあります。
ここでは、代表的な代理店営業の業界について見ていきましょう。
保険業界
代理店営業の業界としてまず紹介するのは保険業界です。
主な仕事内容としては、新規代理店の獲得や既存顧客との関係構築、トラブル時の対応、キャンペーン活動などがあげられます。
保険の販売代理店は複数の保険を取り扱うので、自社の保険を優先して販売してもらえるように顧客と良好な関係を構築することが重要でしょう。
ほけんの窓口やエムエスティ保険サービスなどが大手の保険代理店として有名です。
携帯、スマートフォン販売
携帯やスマートフォン販売の業界は代理店営業の求人が多い傾向にあります。
仕事内容は担当エリアのショップ周りや販売レクチャー、イベントの企画と運営、クレーム対応などが代表的です。
また、販売代理店のスタッフと面談を実施することもあります。
国内の企業として光通信やティーガイヤなどが携帯販売代理店の最大手です。
IT業界
代理店営業の業界として、IT業界もあげられます。
インターネット広告や光回線、ソフトウェアなど、取り扱う商品が幅広いことが特徴です。
また、新規顧客と既存顧客の対応をわけていることも特徴といえます。
IT業界は今後も伸び代がある業界なので、積極的に参入してもいいかもしれません。
代理店営業に必要な能力
代理店営業に取り組むためには、必須となるスキルがあります
どれも重要なスキルなので、一つずつ習得しましょう。
コミュニケーション能力
代理店営業にはコミュニケーション能力が必須です。
代理店営業は消費者だけでなく、販売代理店の担当者とやり取りする機会もあります。
そのときには、他者視点で物事を考えながらコミュニケーションをするスキルが必要なのです。
コミュニケーション能力は代理店営業だけでなく、他の営業においても必須のスキルといえます。
ヒアリング能力
代理店営業を取り組む際は、ヒアリング能力も身につけておく必要があるでしょう。
代理店営業をしていると、販売代理店側に困っていることや悩んでいることを相談されることがあります。
そのときに相手の要望や意見を引き出して、正確に聞き取らなければいけません。
ヒアリング能力を身につけて、顧客から信頼される人材になれるように努力しましょう。
アクティブな活動力
代理店営業はアクティブな活動力も必要になります。
会社や役職にもよりますが、代理店営業は一人で広範囲のお店を任されることが多いです。
そのため、何かあったらすぐに代理店へ駆けつけるくらいのフットワークの軽さが求められます。
明るく元気よく仕事をするように心がけると、自然にアクティブになっていきます。
誠実さ、細かい気配り
代理店営業マンは誠実さと細かい気配りが求められます。
代理店営業は顧客との信頼関係を築くことが最も重要です。
信頼を築くためには相手の期待を裏切らない誠実さや、相手が思いやりを感じる気配りができるようにならなければいけません。
人間関係の構築は代理店営業マンの重要な仕事なので、ぜひ誠実に顧客と対応するようにしてください。
基本的なPCスキルと国語力
代理店営業に取り組みたいなら、基本的なPCスキルや国語力を身につけておきましょう。
顧客に商品やサービスを説明するための資料や報告書をよく作るため、PCを操作できなければいけません。
高度なスキルは必要としませんが、WordやExcel、PowerPointなどは一通り使えるようになるのがベストです。
また、資料を読み取ったり書いたりするスキルのベースとして、基本的な国語力も必要になります。
プレゼン力・説明力
代理店営業の必要なスキルとして、プレゼン力や説明力があります。
代理店営業は販売代理店向けに商品説明をしたり、セミナーを開いたりすることが多いです。
だからこそ、相手に自社や自分の魅力を伝えるプレゼンと説明のスキルが必要になります。
論理的な思考ができるようにトレーニングしたり、うまい営業マンのプレゼンを真似したりすると上達が早くなるでしょう。
企画力
代理店営業マンは企画力もスキルとして身につけたほうがいいです。
代理店契約をした後は、販売促進のためのイベントを企画したりツールを作成したりする機会が増えます。
その際に、顧客に刺さるような企画を提案できると、顧客満足度も高くなる可能性が高いです。
企画力は簡単に身につくスキルではないため、普段の業務から積極的に自分の意見を発信するといいでしょう。
代理店営業の進め方
「代理店営業に興味があるけど、どう進めたらいいのかわからない」という人は少なくありません。
ここでは、代理店営業の進め方について紹介します。
①販売代理店の候補リサーチ
まずは、販売代理店の候補をリサーチします。
代理店によって対応範囲が変わってくるため、自社の営業戦略に合致するような代理店を選ぶことが重要です。
他にも営業実績や担当者のスキル、人柄なども選ぶときのポイントになります。
販売代理店の候補選びは最も重要なフェーズなので、十分にリサーチするようにしましょう。
②販売代理店へのアプローチ・契約
次に、販売代理店へのアプローチと契約です。
リサーチして自社に合いそうな販売代理店を見つけたら、すぐに連絡を取ります。
実際の打ち合わせ時は、自社と契約するメリットについて相手視点で説明するといいでしょう。
そして、双方の契約内容に問題なければ代理店契約を締結します。
③製品・サービスについてレクチャー
次に、自社製品やサービスについてレクチャーします。
当然ですが、自分の販売する商品のことを営業マンが詳しくわかっていなければ、商品が売れることはありません。
そのため、自社商品・サービスの特徴や顧客に届くメリット、販売方法などを一通り伝えるようにしましょう。
レクチャーだけでなく、販売用のツールなども提供してあげるとなお良いです。
④販売開始・定期フォロー
最後に、販売開始と定期フォローを実施します。
販売が開始したら、後は販売代理店に営業を任せることになります。
しかし、定期的なフォローをしないと販売代理店のモチベーションを維持できず、良好な関係を築けません。
だからこそ、定期的に代理店の営業結果をチェックしたり、悩みや不安を聞いたりする場を設けるようにしましょう。
代理店営業のコツ
代理店営業を成功させるために、絶対にやっておきたいポイントがあることはご存知でしょうか?
最後に、代理店営業のコツ6選を紹介します。
販売代理店側の利益を考える
代理店営業は販売代理店側の利益を第一に考えるべきです。
代理店が売上を上げないと、自社の売上も立たなくなってしまいますよね。
つまり、自社の利益を最大化するには、販売代理店の売上が鍵となってくるのです。
自社よりも販売代理店の利益を優先することで、代理店側のモチベーションが向上するため、結果的に両者の売上がアップするでしょう。
サポート体制を充実させる
代理店営業はサポート体制を充実させることが重要です。
自分たちは直接営業活動をしない分、販売代理店が効率良く営業活動ができるようにフォロー体制を整えます。
たとえば、営業同行や定期的なセミナーの開催、販売促進の資料提供、クレーム対応の補助などです。
手厚くサポートすると販売代理店側のモチベーションもアップするので、サポート体制を万全に整えましょう。
自社商品の特徴を分析する
自社製品の特徴を徹底的に分析しましょう。
販売代理店と契約を締結する場合、どうしても金銭的な要求が優先されがちですが、取り扱う商品がどれだけ優良なものなのかも重要な要素になります。
自分がよく理解していないものを販売しても、短期的な売上しか見込ませんし、担当者本人もいい気分ではないでしょう。
そのため、自社の商品やサービスを分析し、顧客にどれだけメリットがあるのかを十分にアピールしましょう。
代理店と信頼関係を築く
自社サービスの特徴を分析したら、代理店と信頼関係を築きましょう。
まずは、自分自身がお客様に好きになってもらえるように働きかけます。
たとえば、お客様の名前や好きなことを覚えて話題に出す、聞き上手になる、ニーズを見極めるなど、さまざまな手段があるでしょう。
また、販売代理店に対してセミナーや研修会を開き、直接コミュニケーションを取るとより信頼関係を構築することができます。
利益率が高い商材であることを示す
代理店と直接打ち合わせできる機会が得られたら、利益率が高い商材であることを示しましょう。
販売代理店は同じ業界の商材を複数取り扱っていることが多いです。
そのため、自社の商材を販売すると、どれだけのメリットがあるのかを伝える必要があります。
利益率の高い商材であることがわかれば、その分代理店側の利益も増えることになるので、前向きな反応を示してくれるでしょう。
代理店の営業に同行する
代理店の営業に同行することも、代理店営業のコツといえます。
代理店契約が締結したとしても、その後にすべての営業業務を任せられるわけではありません。
営業活動中にクレームがあった場合のフォロー対応や、代理店の営業手法に対する課題や問題を見える化する必要があります。
定期的に丁寧なフォロー心がけると、営業結果が改善したり担当者と信頼関係を構築できるでしょう。
まとめ
ここまで代理店営業とは何か、メリットとデメリット、取り組むときのコツについて説明してきました。
代理店営業は自社と販売代理店の橋渡しをする重要な営業の一つです。
代理店営業の新規の成約率が向上したり、販売代理店のフォロー体制が整えば、自社の利益を最大限増加させることができるでしょう。
しかし、代理店営業はコミュニケーション能力やヒアリング力、プレゼン力など、幅広いスキルや知識が必要な仕事です。
また、取り扱う業界も幅広いので、その分業務知識や商品の細かな情報を把握しなければいけません。
どれも簡単に身につけられるものではないので、自社の営業マンに向けて研修やセミナーなどを企画するといいでしょう。
弊社は他にも営業に役立つ情報も発信しているので、併せてご覧ください。