これからBtoB営業を行っていく方の中には、「BtoB営業がそもそも何かわからない」「BtoB営業を成功させるためのコツが知りたい」という方もいると思います。
そこで本記事は、BtoB営業について成功のポイントや営業の手法などを徹底解説します。
BtoB営業とは
BtoB(Business-to-Business)営業とは、企業間の商取引を行う営業活動のことです。
一般的に、製品やサービスを企業向けに販売する場合BtoB営業と呼ばれます。
これはBtoC(Business-to-Consumer)営業とは対照的で、BtoCは企業が個人消費者に対して製品やサービスを提供することです。
BtoB営業では決裁するのは経営者であり、消費者も異なることが多いため自社商品の紹介に工夫が求められます。
商談相手だけではなく、決裁権を持つ者に自社の商品やサービスが相手に対しどのようなメリットを与えられるか明確に伝え、納得してもらわなければなりません。
また、BtoB営業は規模が大きく取引額が大きいことが一般的です。
BtoCと比較して法人の数は一般消費者より圧倒的に少なくなります。
BtoB営業の特徴
BtoB営業にはどのような特徴があるのでしょうか。
次にBtoB営業の特徴を5つ紹介します。
決裁者と利用者が異なる
先ほども紹介したようにBtoB営業では、商品の購入者と利用者が異なることが多いです。
例えば、購入を決めるのは営業部長や役員などの役職持ちの人ですが、実際に使用するのは一般社員のようなケースがこれに当てはまります。
そのため営業時にはそれぞれに対して自社の商品の特徴やメリットの伝え方を考慮する必要があります。
具体的には一般社員に対してどのようなメリットをもたらし、役人には投資対効果(ROI)や経営上のメリットを説明するようなイメージです。
利益があるかどうかが購買の判断基準となる
BtoC営業の場合は、消費者が欲しいと感じれば商品を購入するケースがほとんどです。
しかし、BtoB営業の場合は取引相手が決裁することが基本的にないため、欲しいから購入するようなことはありません。
そのため、企業が商品を導入することでメリットや費用対効果、利益がなければ契約をしてもらえる可能性は低いと考えるべきです。
検討に時間がかかる
一般消費者が商品を購入する場合は検討に時間がかかることはあまりありません。
しかし、BtoB営業の場合は法人が組織として購入を検討するため、検討・稟議を行うために時間を要します。
そのため、BtoB営業を行う際は検討に時間がかかることを考慮し、どのようにして継続的な交流を図るかを考えて営業戦略を立てるようにしましょう。
ルート営業がメイン
BtoB営業では顧客企業数は限られており、取引額が大きいため長期的な関係性を築くことが重要です。
そのため、既存顧客との取引を継続し、顧客単価を上げることにフォーカスしたルート営業が一般的になっています。
また、新規開拓営業は売上を上げる上で重要ですが、顧客層が無限に存在しないため1社のクライアントをより大切にする必要があります。
対法人が基本
BtoBはBusiness to Businessの略であり、企業間における取引を意味します。
そのためBtoB営業は相手は基本的に法人になります。
BtoB営業は相手が法人のため、より自社商品の紹介を工夫して行う必要があります。
また、一般の消費者を対象とした商品の販売も行われるケースがあるため、その場合の営業手法も工夫が必要です。
BtoB営業のポイントとは
BtoB営業はうまく行うためにいくつかのポイントがあります。
ここでは、BtoB営業を成功させるためのコツについて紹介します。
自社の理念や営業方針を理解
BtoB営業において自社の理念や営業方針を顧客に伝えることはあまりありません。
しかし、BtoB営業では会社理念や営業方針を理解していることが求められます。
営業方針は基本的に売りたい商品やサービスに沿って定められています。
そのため、営業方針を理解していないと顧客に自社の商品の魅力をうまく伝えられない可能性があります。
クライアントの課題を解決
経済の不況時などは、企業は簡単に契約を結ばなくなります。
そのため、良い品質の商品を低コストで販売するだけではなく、クライアントの課題を解決するソリューション営業が必要となります。
クライアントの悩みに対して真摯に向き合うことで不況に強く、競合他社との差別化を測りやすくなります。
提案内容をわかりやすくする資料
言葉のみの説明では相手に情報が伝わりきならないことが多いです。
そのため、BtoB営業を行う際には事前に商談の内容に沿う資料を準備しておくことが大事です。
商品やサービスの紹介資料の他に顧客に適した資料を作成しておくといいでしょう。
SFAの活用
SFA(Sales Force Automation)とは営業活動を効率化し、営業成果を向上させるために開発された情報システムのことです。
SFAの利用により営業活用や契約内容を管理し分析することで、効果的な営業活動が可能です。
リードタイムを短縮する
BtoB営業は検討に時間を要するため、継続的な交流をどのようにして取り続けるかを考慮する必要があります。
そのためには、顧客の特徴に適した営業ができる体制を整えなければなりません。
その中で近年注目されている営業手法の一つに「The Model」があります。
「The Model」は見込み顧客の獲得から育成、アポ獲得、提案・交渉など営業の流れを分業化して売り上げをあげる効果的なBtoB営業手法です。
営業プロセスを以下の4つに分けて部門間の協力を促進しながら、一貫性のある営業プロセスを構築し、顧客の体験を改善していくことが目的です。
- マーケティング
- インサイドセールス
- フィールドセールス
- カスタマーサクセス
The Modelで営業活動の効率化を図るのも一つの手法です。
顧客と信頼関係を結ぶ
BtoB営業はルート営業が基本であるため、同じ取引相手と仕事を進めていくことが多いです。
そのためお得意様だからといって油断せずに、相手と常に良好な関係を築いていく必要があります。
BtoB営業において一番大事なのは顧客と信頼関係を結ぶことであり、信頼関係は契約の締結に大きく影響します。
信頼関係を保ち続けるには相手が購入した商品が役に立っているか、問題が発生していないかなどこまめに連絡をとることも必要です。
また、顧客の現場に赴く可能性も考えられます。
顧客の気持ちを一番に考えているという思いを持ち、態度や行動で示して信頼関係を築くようにしましょう。
デジタルを活用する
BtoB営業の特徴は、商品の購入を組織で検討するため購入に時間がかかります。
そのため継続的なフォローが求められます。
継続的なフォローを実現するためには、人間が行う電話や訪問、メルマガなどデジタルを活用する方法の2つが存在します。
人間が行う場合は臨機応変な対応が可能であるため効果に期待できますが、数をこなすのにも限界があり効果の検証がしにくいです。
反対にデジタルを活用する場合は臨機応変さはなくなりますが、システムのため手を止めることがなく継続して数をこなせます。
また、効果の検証もしやすく今後に生かすことも可能です。
両者にメリット・デメリットがあるため、状況に応じて人間がやるのかデジタルを活用するのかを判断するようにしましょう。
BtoB の営業手法
ここからは、BtoBの営業手法について7つ紹介していきます。
ターゲットリストの作成
BtoBの営業活動において、ターゲットリストの作成が非常に重要です。
ターゲットリストは自社の商品やサービスに興味を持ちそうな見込み客のリストであり、商談に結びつきそうな見込み客を発掘するための手段として利用されます。
ターゲットリストを作成するためには顧客情報の収集が必要であり、収集の方法として、広告やセミナーなどを通じて顧客情報を取得することができます。
また、ターゲットリストを作成する際には見込み客の属性や関心事、ニーズに合わせた営業アプローチを設計することが重要です。
これにより効率的な営業活動が可能となり、商談の成功率を高めることができます。
アポの獲得
次に、作成したターゲットリストをもとにアポを取る企業を探しましょう。
アポの獲得には見込み客に対して興味を持ってもらうことと、コミュニケーションスキルが必要です。
営業担当者は電話やメールなどの手段で見込み客にアプローチし、自社の商品やサービスの利点をアピールしながら興味を引きましょう。
メールでアプローチする際は特定電子メール法に気をつけ、サイトにアドレスを公開している企業に限定しましょう。
提案準備
提案準備をする際には以下の点に注意する必要があります。
- 購入者と使用者が異なる
- 複数人での検討・稟議が行われる
- 提案する商品やサービスが企業の課題解決や業務効率化の対策になるか
企業が抱える課題やニーズに仮説を立てて、それに適した提案を用意することが重要です。
また、提案資料には顧客が知りたい情報をわかりやすくまとめることが必要です。
例として以下のものが挙げられます。
- 製品やサービスの特徴、利点
- 価格
- 導入までの流れ
- 顧客サポート
など。
提案準備には細心の注意が必要であり、企業のニーズや課題を把握し適切な提案を用意することがとても大切になります。
ヒアリング
顧客の元へ実際に訪問した後は、顧客の悩みやニーズをヒアリングします。
この際、提案準備で立てた仮説を元にヒアリングを実施していくと良いです。
仮説が違っていたとしてもヒアリング中に新たな仮説を立て、顧客の悩みやニーズを正確に把握しましょう。
提案・交渉
ヒアリングで得られた情報を元に、自社の商品やサービスでどのようにして課題解決やニーズを満たせるかを提案しましょう。
BtoB営業は直接相手と対面して提案・交渉を行うのが一般的でしたが、テレワークの普及により電話やオンラインでの交渉も増加しています。
受注
商品やサービスを提案した顧客に申し込んでもらう手続きです。
金額に相違がないかや条件を満たしているかなどの確認を行います。
顧客サポート
無事契約を結べたら今後の顧客サポートを行います。
継続した取引を続けていくためには、契約後のサポートを実施していくことも欠かせません。
サポートでは利用状況のサポートや問い合わせ対応、アップセル、クロスセルといった提案を実施し、より長い期間商品やサービスを利用してもらえるようにしましょう。
活用できるフレームワーク
BtoB営業には活用することで、効果的な営業活動が行えるフレームワークが存在します。
ここでは、BtoB営業で活用できるフレームワークについて解説します。
FABE
顧客と商談をする際、商品やサービスの特徴ばかり説明していては中々契約に繋げることができません。
顧客に対して自社の商品やサービスを導入することで、どのようなメリットが得られるのかを明示する必要があります。
そこで、BtoB戦略に活用できるフレームワークの一つにFABEが挙げられます。
FABEは、以下の流れで進めていきます。
- Feature(特徴)
- Advantage(優位性)
- Benefit(顧客便益)
- Evidence(証拠)
それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
Feature(特徴)
初めに商品やサービスにおける特徴について説明します。
ここで、うまく次のステップに進むためには情報を簡潔にまとめることが大事です。
Advantage(優位性)
商品やサービスの特徴について紹介出来たら、次に自社の商品が競合他社に対しどのような点で勝っているのかを相手に伝えます。
そのためには、SWOT分析を活用し自社の強みを洗い出しておくようにしましょう。
SWOT分析とは自社の事業の状況等を
- 強み(Strengths)
- 弱み(Weaknesses)
- 機会(Opportunities)
- 脅威(Threats)
の4つの項目で整理して、分析する方法です。
Benefit (顧客便益)
BtoB営業で最も重要なポイントは、顧客にとって自社の商品やサービスを購入することでどのようなメリットが得られるかどうかを明示することです。
ただし、相手の気持ちを考えず一方的な商品紹介は、逆効果になる可能性があるため注意が必要です。
商談の際には常に顧客目線での営業が大事になります。
Evidence(証拠)
商品の特徴や優位性、メリットだけを話すのではなくそれぞれの根拠となるデータを提示することが大事です。
国や公共機関が発表しているデータや、過去にあった事例も有用な参考データとなります。
BANT
BtoBではいくつかの確認すべき必須項目があります。
そこで、BANTというフレームワークを活用することで情報収集を効率化することが可能です。
BANTは以下の要素から成り立っています。
Budget(予算)
Authority(決裁権)
Needs(ニーズ・需要)
Itme frame(導入時期)
それぞれの要素について詳しく見てみましょう。
Budget(予算)
顧客の予算に応じて提案内容を変更させる必要があるため、迅速に確認しておくことが重要です。
予算によっては、提案できる商品がなくなってしまうケースも考えられます。
Authority(決裁権)
商談においては決裁権を持っているのが当事者である可能性が低いため、誰が持っているのかを把握しておくことが重要です。
所有者によって営業の仕方が変わってきます。
Needs(ニーズ・需要)
商談では自社のものばかり伝えるのではなく、顧客が一体何を求めているのかを把握しておく必要があります。
自社の商品やサービスを活用して、顧客のニーズにどのようにして応えられるかを考えることが重要です。
Time frame(導入時期)
商品やサービスを導入するタイミングによってアプローチ方法は変動します。
早く商品の導入を望んでいる場合は既に競合他社とも話が進んでいる場合があります。
そのため、顧客の都合も考慮して適切なアプローチをしていくことが重要です。
まとめ
BtoB営業は基本的に法人が顧客となる営業活動のことです。
BtoB営業では、決裁する相手が取引相手ではなく役員など役職持ちの人たちであることが多いため、利用者・決裁者どちらにもPRできるような準備が必要になります。
また、組織で商品購入の検討を行うため、時間を要することも頭に入れておく必要があります。
BtoB営業を効率的に進めていくには、FABEやBANTなどのフレームワークを利用したりデジタルを活用することが有効的です。
そして、営業活動がうまくいき商品の購入まで進めたからといって終わりではありません。
BtoBにおいて企業間の信頼関係が最も重要であるため、商品を導入後も顧客をサポートし継続的な信頼関係を築くようにしましょう。
適切な信頼関係を築くことで今後も継続して取引を行うことが可能です。